私が多感な(笑)小学校時代から高校くらいまで、大変敬愛し、愛読していた漫画家楠本まきの自選集です。
今月から5ヶ月連続で出版されるらしいです。
第1弾の今月は『Kの葬列』。
これ、非常に好きな作品でしたね。平成4年から7年に描かれていたものなので、私が高校生の頃でしょうか。
今読んでも面白い。
彼女については言うまでもないことですが、絵とそこから生まれる空気。美意識。
そして、不条理なストーリー。
文学的ですよね。
表現される世界は耽美的であり、前衛的、そしてシュール。
登場人物は絵としてもキャラクターとしても、不思議な人ばかり。ストーリーは螺旋階段のあるアパルトメントに住むエキセントリックな住民たちに起る不条理な事件を描いています。その人物や事件、そしてアパルトメントは一つ独特の世界と空気を作り上げているのだけれど、それぞれのキャラクターや出来事はなんだかひどく普遍性を感じます。描かれている端々から感じられるテーマは哲学的であり、おそらく昔から人間が向き合ってきたものでさえある。
前面に出してこれを表現しようとしているのかどうかはわかりませんが、Kという人物はいかにも芸術家であり、しかし、いえだからこそ、同時に卑小な人間の弱さやアイデンティティとか自己というものの危うさを見せていて。彼に関わる人間たちもそれぞれ人間のエゴイスティックさや、精神の危うさを感じるに十分。
マザーグースの歌や、オスカー・ワイルドのサロメの一節など、十代の私が愛した物をが散りばめられた彼女の作品は、なんだか私の感性の原点を思い出す感じでした。

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