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2007年1月 5日 (金)

ケス

2007年2本目の映画は1969年のケン・ローチ監督の作品「ケス」。最寄りのTSUTAYAにないんで,わざわざ新宿まで借りに行っちゃいました。ヨークシャー地方の炭坑の町を舞台に貧しい少年を描いた作品です。

うーん。お正月から切なかった・・・。

主人公ビリーは15歳の少年。体も同年代の少年達より小さく,落ち着きが無く,いつも怒られてばかりの少年です。父親は蒸発してしまって居らず,生活を支えることと支えてくれる男性を探すことで必死な母親,その母へ反発心を持ちながら炭坑で働く暴力に育った兄と3人で暮らしています。バイト先では住んでいる地域だけで悪く思われ,学校では最初からダメな子の烙印を押されています。

本人も実際に悪いことはするのです。牛乳や本を盗んだりたばこを吸ったり,授業中話をちっとも聞いていなかったり。

でも,それは致し方ないことだと思います。途中先生がビリーを「他人に無関心」と言います。それはそうでしょう。彼は誰からも自分が関心を持たれたことがないのですから。彼は,誰からも関心を払われず,放置されている孤独な子どもなのです。

そのビリーがケスという名の鷹を調教していく様,そして,ケスに対する畏敬の念は非常に興味深かったです。ビリーが,ケスを飼い慣らしているのではない,ケスは誰からも自由で超然としていると感じ,敬意を持って接する姿は,周囲の大人や同級生達がビリーに接する態度とは対極にありました。周りの人たちは誰もビリーのことを愛したり,敬意を持ったり,彼を知ろうとさえしないのです。教育をしたり,礼拝で説教をする学校も,結局は子どもを見下し,上からみるだけで,子どもに目を向けようとはしていない。

だから,いつもはみそっかす扱いのビリーが教室でケスの話をするシーンは感慨深いモノがあります。彼が目を輝かせ,ケスのことを語る,それも素晴らしいし,同時にその彼の話を教室中の先生と生徒が関心の目を向けて聞き入る。彼が自分のことを語り,そしてそれに対して他人から関心を持って扱われた瞬間でした。

けれど,物語は決してハッピーエンドではない。現実はやはり厳しい。だから,ケンローチに作品はリアリティを持つのでしょう。

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