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2006年7月 7日 (金)

「大停電の夜に」

久々に映画の更新ですね(笑)。今日はビミョーにネタバレあり「気味」です。

本日は邦画DVD新作で出ている「大停電の夜に」。クリスマスイブの夜に東京が大停電する、っていう7月には非常に季節外れな映画です。パニック映画みたいなタイトルですが、全然違ってサンタクロースが大停電とともに運んできた大人の切ない一夜の夢。その夢を美しい路地を照らすろうそくの明かりと、白くふわふわした雪が彩ります。

過ぎ去った月日は重く、どんな経過を辿ってここに至っていようとも現在は大切で、大人は過ぎ去った人と時を切なく思い出すしかない。あの日のあの場所へ、そしてあの人の元へ、決して戻ることはできないのです。いまこの現実の中で生き、そして明日に向かって歩いていくしかできない。でも、それはどこか温かい。

最初のワンシーンで、美しい映画であることはすぐに分かります。古びた静かな室内、男性の手が沢山のレコードの中から1枚のレコードを選び取る。選んだレコードはBill Evansの”Waltz For Debby”。

かつてジャズベーシストを目指していたジャズバーのバーテン(豊川悦司)。ニューヨークに渡る時においていった彼女を求めながら、ウッドベースを磨く日々。
それを見つめる向かいのロウソク店の女性(田畑智子)。

父親に自らは私生児で、今でも母は生きていることを伝えられる男性。左遷の辞令が下っていた(田口トモロヲ)。
そして彼の不倫相手のOL(井川遥)。強くステキな女性であったはずの彼女は、不倫相手に妻と別れることを望み、あっけなく断られる。
そんな彼女と一緒にエレベーターに閉じ込められる中国人ホテルマン(阿部力)。本当は今日、遠距離恋愛中の彼女に会うため上海に帰るはずだった。連絡の途絶えがちな彼女に。
不倫をしている夫に気づきながら、離婚届を引き出しにしまっている美しい妻(原田知世)。

クリスマスイブに、婚前、不倫の末に出産し生き別れていた息子から電話のかかってくる女性(淡島千景)。
定年を迎えた今頃になり、それを知らされた夫(宇津井健)。

かつての恋人を待ちきれず、結婚をし現在2人目の子どもを妊娠中の主婦(寺島しのぶ)。
刑務所を出所し、かつて約束した恋人に迎えにいったつもりが、すでに結婚していたことを知る男性(吉川晃司)。

若くして乳がんでクリスマスに乳房切除の手術を控えたモデルの女の子(香椎由宇)。
屋上にあがる彼女を天体望遠鏡で発見する天体マニアの男子中学生(本郷奏多)。

9人の大人と3人の若者。彼らの大停電の夜はそれぞれの想いを浮かび上がらせながら、彼らがふれあい、去り、そして夜が明ける。夜と共に大停電も終わりを告げ、夢から覚める。

大人は弱く、若者は傷ついても明日を作っていけるエネルギーがある。その対比がまた切ない気がしました。いつかその若者も時間の重さと取り返しのつかなさを知る日が来るのでしょうが・・・。

印象的だったのは、ろうそくの中浮かび上がるウッドベース。何年も弾かれていないその楽器に、流れた月日の重さを重ねました。

時間の取り返しのつかなさと、過ぎ去った人への愛しさに、切なくて胸が熱くなる映画です。そして、夜の黒とろうそくの柔らかな光、ここから始まるそれぞれの新しい人生が温かく予感されます。夜にしっとりと観る映画ですね。できれば冬に(笑)。

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アーティスト:Bill Evans

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コメント

トラックバックから来ましたfayと言います、初めまして☆
田畑智子あんまり好きじゃなかったんですけど
芝居が役にあっててちょっと見直しました(笑)

このブログの背景、テンプレートですか?それともオリジナル?
センスいいですね☆

またアクセス、トラバよろしくお願いします☆

投稿: fay | 2006年7月 8日 (土) 02時07分

>fayさん
初めまして。コメントありがとうございます。
田畑智子、なかなか良かったですよね。
私は、原田知世の美しさと若さに感動しきりでしたが(笑)

ちなみにこの背景はテンプレートです。私もなかなか気に入ってます。

またよろしくお願いします。

投稿: あき | 2006年7月11日 (火) 19時11分

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受信: 2006年7月 7日 (金) 12時02分

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どうせ一夜のファンタジーなら、複雑な人物相関に頭を悩まさなくてもよかろうに・・・。 ●北米・カナダ大停電 2003年8月14日 アメリカ東部時間午後4時過ぎ、米北東部から中西部までの幅広い地域とカナダ南東部で一斉に停電が起き、ニューヨーク他大都市の約5千万人が影響を受け、史上最悪の広域災害となった。停電の原因は、送電線に対する不十分な投資、中西部における地域間共同運用の不備、運営者間の連絡不十分などによるもので、送電管理システムがダウ�... [続きを読む]

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