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2006年4月 3日 (月)

「空中庭園」

「何事も包み隠さず、タブーを作らず」
そんな何だか作り物で嘘みたいなルールを作った女性の家族の物語です。そんな嘘みたいなルールで理想の家庭を必死に作ろうとしている。自分の人生をかけて。それが痛いほど伝わってくる。張り付いたような作り物の笑顔を浮かべて、おもちゃみたいなルールで儚い空中庭園を作り上げようとしている、その女の心情をよく描いた作品だと思います。

「やり直して、また繰り返して」

そんなキレイごとのルールで幸せな家庭ができるわけもなく、次第に家庭は崩壊していく・・・・かのようにみえる。けれど、主人公の気づかぬところで家族はちゃんと家族だった、崩壊しかけたかのように見えた家族はちゃんと家族で、再生するのですね。それがこの映画のもう一つの醍醐味ではないかと思います。空中庭園は儚いようで、案外そうでもなかった。

見えている部分は一見学芸会のような、ままごとのようなキレイごと。それぞれ腹の中にあれこれ溜めていて、「溜めているのだろう」という事実だけをチラチラと見せながら、主人公の目線で見る世界を中心にして話は進んでいきます。

「思い込んでると、本当のことが見えない」

エンディングまで、ストーリーは基本的に彼女の主観的世界で進んでいく。思い込み。それがエンディングでひっくり返されるんですね。それが家族の再生。彼女の思った通りではなかったけれど、家族はやはり家族だったのです。

細かい点まで見たら100点満点の映画ではないけれど、私は好きです。一人の女の人生かけた計画と、家族という繋がりの不思議。
一人一人、私たちはもちろん、主観的な世界を生きているのだけれど、その主観的な世界は時に重なり、時にまったく乖離し、それでも私たちは人とともに生きている。そしてその繋がりのもっとも不思議な形が家族という存在かも知れませんね。

・・・・・・・・・・・・・
今日、この映画を観たのは、何かの「ご縁」かもしれません。
多分、私は今日、この映画に出会いたかったんだと思います。

・・・・気づけば、明日は母の誕生日です。

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コメント

>主観的な世界は時に重なり、時にまったく乖離し、それでも私たちは人とともに生きている

エッセンスだけを簡潔に表したステキな記事ですね。
とくに上記の表現が心に浸みました。
本作は、昨年の邦画マイベスト3です。

投稿: マダムクニコ | 2006年4月 4日 (火) 14時39分

<マダムクニコさま

コメントありがとうございます。
いい映画ですよね。
見て色々なことを思ったのですが、ブログをかく前にマダムクニコさまのブログをみたら、たいてい描いてあったので(笑)。私はエッセンスだけにしました。

私は心理学を生業としていて、よく人が人と共に生きるということについて考えるのですが、この映画はなんだか一つの答えのような気がしました。

投稿: aki | 2006年4月 5日 (水) 01時22分

リンクしていただけるなんて光栄です。
毎回、いろいろ調べてからアップするので、なかなか更新できず、気になっています。

心理屋さんですね。道理で考察が深いな、と思いました。
これからもよろしく。

投稿: マダムクニコ | 2006年4月 6日 (木) 23時35分

<マダムクニコさま

色々お調べになっているんですね。確かに。洞察力もさることながら、あの理論的なバッキングには舌をまきました。大変とは思いますが、一読者として毎回の更新楽しみにしております。

私の方はどちらかというと直感で書いておりますが、今後も良いものがかけるよう、頑張ります。

これからもよろしくお願いします。

投稿: あき | 2006年4月 7日 (金) 00時43分

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