« 「メゾン・ド・ヒミコ」 | トップページ | 「PLUTO」 »

2006年4月 4日 (火)

「モーターサイクルダイアリーズ」

「23歳の医学生エルネストは、親友アルベルトとともに中古のおんぼろバイクに駆(の)って南米大陸を縦断する冒険の旅に出る。それは金も、泊まるあてもなく、好奇心のままに10,000キロを走破する無鉄砲な計画だった。喘息もちなくせに恐れを知らないエルネストは、美しい茶褐色の瞳で出会うすべての人々を魅了する。そんな彼を支えるアルベルト。冒険心、情熱的な魂、旅を愛する心でつながれた二人のゆるぎない友情。心をふれあったすべての人に、惜しみない愛を捧げた、エルネストの瞳に映る南米大陸の様々な風景。その記憶が彼の未来を変えた。」

伝説の革命家エルネスト・チェ・ゲバラの若き日の旅路を描く青春映画です。

なんていうかね。素直に見たらいい映画だと思います。

淡々としているんですね。一つ一つのエピソードの描き方が。よくこんな壮大な旅をこんなおんぼろバイクで走り出したもんだ、と思うほどの距離なわけですが、その分、沢山の山や川を超え、沢山の街で様々な人に出会う。その一期一会を過剰に盛り上げることなく淡々と描いていく。途中、モノクロ写真のような静止画が出てきて、その出会いを印象づけるんですが、それは最初は単独の1枚の作品なんですよ。それが、次第に写真の枚数が増えていき、物語が生まれて、旅の意味が見えてくる。

旅ってそんなもんだと思うんですよ。少なくとも私にとっては。最初の街も面白い、次の街も面白い、そうしているうちになんだか急にその旅の自分なりのテーマが見えてくる瞬間があったりする。それは2週間の旅の最後の数日に見えてきたり、4、5日しかない短い行程の真ん中くらいで急に「あ!この旅はこれに出会いに来たんだ!」って分かったり。様々なんですが。

このロードムービー。景色も美しい。でも確実なのはこれはやはり真っ直ぐな青年が人々と出会い、革命家という人生の萌芽が生まれた、それがメインテーマでだということでしょう。初めは真っ直ぐで不器用だった青年が、だんだんちょっとずるいこともできるように、たくましくなってくる。そうしているうちに貧しい人々とアンデスで出会う。この辺りから青年の顔つきはけわしいものになってくる。写真は増えていく。出会った貧しい人たちの写真が増えて行く。

そしてたどり着いたアマゾン川流域のハンセン病療養所。医療スタッフと修道女たちによって運営されているこの療養所は河を隔てて、スタッフと患者が別々に住み、スタッフが患者に触れるときには手袋をしなければならない決まり。欺瞞に満ちた独善的な処遇の行われる療養所(もちろん言うまでもありませんが、ハンセン病の感染力や発病力は非常に弱く、日常生活で感染する可能性はほとんどありません)。その患者とスタッフの壁を壊して行く二人。最後にわたり切ったアマゾン川の対岸には新しい世界が開けていたように見えました。印象的だったのはあれほど決まりに厳格で独善的だった修道院長までもが、最後はその隔たりが隠喩的に壊された瞬間を喜んでいたこと。

「全ての人々のために」

一人の人間の生きる軸が生まれていくのを美しい映像と、人々の生々しい姿で綴るロードムービー。静かで淡々としているけれど、最後は胸が熱くなる感動作です。

<>

モーターサイクル・ダイアリーズ 通常版
DVD モーターサイクル・ダイアリーズ 通常版

販売元:アミューズソフトエンタテインメント

発売日:2005/05/27

Amazon.co.jpで詳細を確認する

|

« 「メゾン・ド・ヒミコ」 | トップページ | 「PLUTO」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/4558/1272288

この記事へのトラックバック一覧です: 「モーターサイクルダイアリーズ」:

« 「メゾン・ド・ヒミコ」 | トップページ | 「PLUTO」 »