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2006年4月12日 (水)

「阿修羅のごとく」

「女は阿修羅だなぁ」

その一言に集約されている作品でしたね。

向田邦子原作、森田光芳監督。私としてはどちらも作品を観るの初めてですね。って、向田邦子観たことないって珍しいんでしょうけれど。

4姉妹とそれを取り巻く両親と夫、恋人の姿を描いた作品です。物語は三女(深津絵里)が70になる父親が女性をかこっているのを発見し、母には内緒で4姉妹で集まって話し合いを持つシーンから始まります。長女(大竹しのぶ)は夫を亡くし不倫中の未亡人。次女(黒木瞳)は家庭を持つものの夫は若い秘書と不倫中なのを知っていて黙っている。三女は華やかな四女に嫉妬心を抱く堅物の図書館司書。四女は駆け出しのパっとしないボクサーと同棲中。一見仲の良い四姉妹はそれぞれに秘密を抱えて生きている。

そこが二面性を持つ神であり同時に人間以下の存在ともされると言う戦いの絶えない神「阿修羅」。

色々な側面を持つ映画と思いますが、中心は女性のしたたかでたくましい姿。コメディタッチで描かれたその姿は爽やかでもありました。男性の方が情けないのね、どちらかというと。途中で薄々感じてたんだけど、やっぱり母親は父親の浮気をちゃんと知っていたのね。でも、やられっぱなしじゃないの(笑)。夫の浮気が分かる黒木瞳の姿も最後にはしたたかでたくましく。

舞台は昭和54年。時代を感じる作品だなぁ、と思います。フェミニストの方が観たらやり玉にあげそうな、女性が日の目を見ない伝統的な日本の家庭。その中で女性がどうたくましくしたたかに生きていたかを描いている。もちろん、そうした女性のたくましさって今でもあるけど、社会の枠組みが違いますよね。夫婦や姉妹、親子という家族の中のそれぞれの関係の違いが微妙に描き出されていて、日本の家族ってこんな感じだったのかな?というのを感じさせます。一見波風立てない、その実それぞれ思っていることがあるそんな阿修羅のごとき美しい母子と姉妹。

縁側のある日本の古い家屋の感じや、それを彩る雪や桜。時折、何かを暗示するように静止画のようにとられたモチーフ。印象的な場面を連ねながら4姉妹のそれぞれの苦悩が白日の下あらわになっていき、そして最後はやっぱり笑って終わる。阿修羅なんだけど、でも家族の良い面もしっかり描かれている。家族というものを象徴するような完成度の高い作品かと思います。安心してみられる作品ですよね。

うーん。ただ、に「すごく良かった!」と共感するには、私なんかは生まれ育った時代や家庭が違うなぁ、というのが正直な印象。家族の枠組みっていうのがそんなにはっきりしなくて、作品中に出てくるような家族の関係のあり方ってちょっと一昔前のことって感じ。年末に母娘そろって漬け物つけないと年をこせない、みたいなのってないじゃないですか、今(笑)。私なんか年末になっても帰る家一つないですよ(って、それも極端だけど)。そういう端々に時代の違いを感じる。家族のイメージや関係性そのものが異なっている。それでも、「姉妹ってすごい嫉妬心があるのに、相手が辛い立場にたってるとやっぱり自分もつらい」という複雑な姉妹関係のありかたなんかは今でも共通するんでしょうけれど。そういう共通する要素はありつつ、そこまで入り込めないのはやっぱり世代の違いと女性の生き方の変化かもしれません。

恐らくもうちょっと年配の方、せめて自分の親世代がそういう生き方をしていたかもしれない40代以上の方が観たらもっと面白さが発見できるのかなぁ、なんて思いました。

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阿修羅のごとく
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コメント

リンク辿ってやってきました、はじめまして。

映画版もあるのですね、自分はNHKドラマ版
で観てました。まさにS.54年頃です。
ヴィデオをたまに思い出しては観返しています。

投稿: ふるかわ | 2006年4月15日 (土) 20時57分

はじめまして。コメントありがとうございます。

NHKドラマの方を観ていらしたのですね。私は映画化までこの作品を知らなかったのですが、ドラマがやっていた頃がまさにこのお話の舞台になっている時代だったんですね!それは今観るのと随分感じが違うでしょうね!当時はどんな風に感じられていたんでしょう?

投稿: あき | 2006年4月16日 (日) 01時21分

この映画大好きです。深キョン好きだし、4姉妹フェチなので。でも一番好きなところは大竹しのぶvs桃井かおり先生の対決です。迫力ありすぎ。

投稿: けい | 2006年4月16日 (日) 01時33分

4姉妹フェチですかぁ。さすがですね。私は深津絵里好きです。全体に好きな女優さん揃いですけどね。黒木瞳も大好きだし。
桃井かおり vs 大竹しのぶ!あの対決はすごいですよね(笑)。迫力でしたねー!女は怖い(笑)
私的には、大竹しのぶの影に隠れちゃう三津五郎さんのダメ男っぷりとか、中村獅童の一生懸命なのにすごーく情けない姿もたまらないです(笑)。

投稿: あき | 2006年4月16日 (日) 01時44分

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***阿修羅とは、表面的には、仁義礼智信を揚げるかに見えるものの、 内には猜疑心が強く、互いに事実を曲げまたいつわって他人の悪口を言い合い、 言い争いの象徴とされるインド民間信仰上の神の事。**** 向田邦子原作の小説を 森田芳光監督が映画化。 人から見ると幸せそのもののような家庭でも、何かしら問題を抱えている。 仲がよさそうな家族にも実は裏の顔がある。 仲代達矢演じる70歳になる父親にはなんと愛人と子供までいた! それを... [続きを読む]

受信: 2006年4月12日 (水) 09時33分

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