« 福蘭 | トップページ | 「大阪」ー夜と昼ー »

2006年4月17日 (月)

「かもめ食堂」

Prof「フィンランドのヘルシンキに1ヶ月前にオープンしたばかりのかもめ食堂。1ヶ月の間1人もお客さんが来ず、店長サチエさんは毎日食器を磨く日々。しかし、ある日日本かぶれでアニメ好きのフィンランド人青年が来たのを始まりに、だんだんかもめ食堂には人が集まり始め・・・」

終わった瞬間気分的には”スタンディングオベーション”!良かったです。☆の数を5段階で評価するなら☆5つ。”現代版人情物語inヘルシンキ”(笑)といった所でしょうか。独特の間合いと空気、そしてちょっとの不思議とキャラクターの良さ、そんな要素達がうまくかみ合った作品です。

際立つのは登場人物の魅力。うまく作品になってるの。

まず、サチエさんと、サチエさんに本屋のカフェで「ガッチャマンの歌の歌詞知ってます?」と不思議な声をかけられ、かもめ食堂で働くことになるミドリさん。この二人、どちらも独特の空気でいい味出してるんですが、対照的で良いの。お客の入らないかもめ食堂を何とかしようと右往左往、一喜一憂するミドリさんと、実直に真面目にやっていればいつかお客さんは入る、自分のやりたい食堂はこういうところなの、などしっかりと筋の通ったサチエさん。サチエさんは合気道をやっているんですが、合気道の体の芯を意識してなんて説明をするシーンの言葉はサチエさんの芯の通った生き方をうまく象徴していました。最近、”ロハス”って流行ってますよね?この映画、とっても”ロハス”な作品だけど、そこで見落としちゃいけないのが、このロハスなサチエさんのしなやかだけど、一本筋が通った”自分”をしっかりもった生き方だと思います。自分のペースで健康に、サステイナブルに生きていくには自分なりの筋が要るんだなぁ、と思いました。ブームに沸いて、なんとなく”ロハス”に憧れている方は、自分に芯があるかどうか考えてみる必要がありそうですね。無かったらのんびり探したり、作ったりしていけば良いんでしょうけど。

次に出てくるのがもう一人の日本人女性”マサコさん”(もたいまさこ)。名演でしたね(笑)。ロストバッゲージで困っている彼女。空気は本当に独特でいーいキャラです。それまで両親の介護に追われていた彼女は、両親亡き後、フィンランドにやってきます。印象的なのはサチエさんに「大事なものが入っていたんでしょうにねぇ」と言われ「大事なのもの?」と首を傾げているシーン。そう、彼女は大事なものと言われてもピンと来ないの。多分、自分の大事な物って何か分かっていないのね。で、フィンランドで見つけるんですよ。大事なものを。何かを言っちゃうとにネタバレなんですが(笑)、見つかった大きなトランクの中に入っていたものに大注目です。

それに、3人のフィンランド人たち。友人がいないオタク青年、旦那に逃げられたアルコール依存寸前の女性、家族を亡くした男性。それぞれ訳ありの人たちとのかもめ食堂での温かいふれあい。特に面白いのはフィンランド語の全く分からないマサコさんが、女性の話を聞いて、何故か内容を理解して慰めちゃう辺りですね(笑)。なんで話分かってんだよ?って感じなんですが。

3人の日本人女性も、3人のフィンランド人もそれぞれ過去があって、訳ありなの。それはそうですよね。ある程度の年になれば、誰にだって1つや2つ訳はある。それでもそんな人たちがそれぞれ生きていて、温かく集える食堂がかもめ食堂。コーヒーとシナモンロールばかり売れるかもめ食堂だけど、要所要所でサチエさん曰くジャパニーズ・ソウル・フード”おにぎり”が登場するのも素敵。昔、母を早くになくしたサチエさんの父が不器用な手で、遠足と運動会の日にだけ作ってくれたおにぎり。(なんだか向田邦子の”黄色い卵焼き”を彷彿とさせますね)

一人一人の苦しい所を重苦しくつっこまず、さわやかに描いています。人って、誰でも色々あって、寂しかったり、辛かったり。でも、そこに温かくておいしいご飯と、触れ合える人がいて、集まれる場所があって。生きてるってそういうことですかね。

エンディングは井上陽水「クレイジー・ラブ」。フィンランドで陽水?と首を一瞬傾げるんですが、この映画の不思議な空気と、不思議ミュージシャン(笑)井上陽水の浮遊する声はなんだか絶妙で合っている。

皆様、是非ご覧くださいませ。本当に良い映画です。

**但し!!ケータイの電源はOFFでお願いしますよ!まったく。混雑している映画に行くと必ず居るんですよ、上映中にケータイなってる人が。何しに来てるんですかね。

<>

<>

<>


かもめ食堂
Book かもめ食堂

著者:群 ようこ

販売元:幻冬舎

Amazon.co.jpで詳細を確認する


この記事を評価する

|

« 福蘭 | トップページ | 「大阪」ー夜と昼ー »

コメント

あきさんへ
『かもめ食堂』以前何かの番組で、映画の宣伝にそのお三方が出ていらっしゃいました。
そこで、すごく不思議な、でも作りこんでない(本当はすごく役作りしているんでしょうけど)自然な感じで、見たいなーって思ってたんですよ。
あきさんの映画の批評すごく好きです♪
見たい映画がまた増えました。
ああ、映画館で見たい・・・

投稿: つる | 2006年4月18日 (火) 00時46分

>つるちゃん

コメントありがとう。最近は一体この人仕事何?みたいに映画ばかり観ている私なので(笑)、映画評気に入ってもらえて嬉しいわ。

そうそう。作り込んでない感じなんだけど、違和感がないのね。それぞれのあくの強さがあまり出ず、いいキャラになってたよ。
是非、時間があったら映画館で。恵比寿とか新宿でもやってるよー。

投稿: あき | 2006年4月18日 (火) 13時37分

>一人一人の苦しい所を重苦しくつっこまず、さわやかに描いています。

そのほうが却って、背景を連想させる・・・。
すごい演出力ですね。

こんなに万人にすすめられる作品って、滅多にないですよね。
TBに感謝!

投稿: マダムクニコ | 2006年4月21日 (金) 13時00分

>マダムクニコさま

コメント&TBありがとうございます!

>そのほうが却って、背景を連想させる・・・。
すごい演出力ですね。

そうですよね。良い空気のまま,でもそれなのにそれぞれの背景を観ている側としては連想してしまいますよね。演出の狙いにはまって私などはあれこれ連想してしまいました。
だからこそ,この作品の空気を益々良く感じられたかもしれません。

投稿: あき | 2006年4月21日 (金) 13時30分

はぢめましてです。ブロルポからやってまいりました。
なんとなく観てしまった『かもめ食堂』。当りでしたね~。
なんかね。独特な雰囲気が良いのですよ~。
整理券制度の小さな映画館で見たのですが、56席中47番・・(汗)。
はい、一番前の席しか空いてませんでした。しかも首が痛くなりました(滝汗)。でも全席埋まってました(すげー)。

あとで公式サイト見たら東京ではシネスイッチ銀座、恵比寿ガーデンシネマという大作ではなく佳作が多いところで上映されてたのですね。
映画もどっかんどっかん笑わせるというのではなくクスクスというのがgoodです。あの独特の間が素敵。なんか不思議な映画でした。

更新頑張ってくださいね。でわでわ。

投稿: ブリ | 2006年4月27日 (木) 18時38分

>ブリさん

コメントありがとうございます。
私は最初銀座しかやっていないと思ってたので(笑)、逆にミニシアターながら複数の映画館でやっていることに驚きました。それで、案外混んでいたのにもまたびっくり(笑)。
独特の雰囲気を楽しめる映画ですよね、私もなんだか空気を楽しめたように思います。

ではでは。今後ともよろしくお願いします。

投稿: あき | 2006年4月27日 (木) 23時44分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/4558/1443281

この記事へのトラックバック一覧です: 「かもめ食堂」:

» ロハス度チェック [ロハス(LOHAS)生活]
いつもコメント・トラバ・相互リンク・ランキング応援などありがとうございます。 ロハス(LOHAS)生活@ロハスです。 この記事へのトラックバック、コメントなどをお待ちしております。 [続きを読む]

受信: 2006年4月18日 (火) 07時09分

» 群ようこ【かもめ食堂】 [ぱんどら日記]
群ようこの本は、何年も前に家族ネタのエッセイを読んだきりでした。 この人は、本の雑誌社が創立したばかりのころに事務員として勤めてた……のではなかったかな? そのへんのいきさつは、こちらの本に詳しく書いてあるはずですが、違ったらごめんなさいねー。 ...... [続きを読む]

受信: 2006年4月18日 (火) 10時44分

» 『かもめ食堂』 [京の昼寝〜♪]
それはヘルシンキにある食堂でした。こころをこめた「いらっしゃいませ」とおにぎり。毎日ふつうで、おいしくて、小さいけれど堂々としていました。 ■監督・脚本 荻上直子■原作 群よう子(「かもめ食堂」幻冬舎刊)■キャスト 小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ、マルック・ペルトラ、ヤルッコ・ニエミ□オフィシャルサイト  『かもめ食堂』 フィンランド、ヘルシンキの街角でオー�... [続きを読む]

受信: 2006年4月19日 (水) 12時19分

» かもめ食堂 /ガラスの壁  [マダム・クニコの映画解体新書]
道路に面した食堂の大きなガラス窓と合気道・・・。この映画のエッセンスはそこに詰まっている。  滅多にないのだが、至福の映画がある。できることならいつまでも観ていたい・・・。本作は、そんな気分にさせてくれる貴重な逸品だ。 かもめ食堂  このところ、女性ならではの視点で撮った若手監督の作品が注目を浴びている。この映画もその一つ。荻上直子(「バーバー吉野」「恋は五・七・五!」)の第3作だ。フィンランド�... [続きを読む]

受信: 2006年4月21日 (金) 13時08分

» *かもめ食堂* [Cartouche]
{{{ 東京から10時間、日本から最も近いヨーロッパの国、フィンランド。 そんな何だか遠くて近い国でひそかに誕生した映画「かもめ食堂」。 フィンランドの首都ヘルシンキは青い空にのんびりとかもめが飛び交い、 ヨーロッパ各地からの客船が行き交う美しい港町です。 その街角に、日本人女性サチエが経営する「かもめ食堂」(ruokala lokki)は 小さいながらも健気に開店しました。 そんなかもめ食堂を舞台にそれぞれの登場人物の、丈夫だけれどちょっとやるせない、 日常的なようでそうでない、..... [続きを読む]

受信: 2006年4月26日 (水) 21時49分

» 「かもめ食堂」おいしいコーヒーのおまじない [soramove]
「かもめ食堂」★★★☆ 小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ主演 荻上直子監督、2005年 フィンランドのヘルシンキの街の 「かもめ食堂」が舞台。 2度満席で入れず、3度目にしてやっと 席に座る、 こんなに情熱を傾けるような映画じゃなく 「脱力系」な...... [続きを読む]

受信: 2006年4月29日 (土) 12時42分

» かもめ食堂 / 群ようこ [書庫  ~30代、女の本棚~]
フィンランドにひっそり佇む食堂を舞台にし、小林聡美らが出演。話題となっている映画『かもめ食堂』 の為に書き下ろしたという珍しい形での出版作品。 ヘルシンキの街に謎の食堂『かもめ食堂』が出現した。 街の人々は子供が営んでいると誤解している... [続きを読む]

受信: 2006年5月 4日 (木) 11時46分

» 「かもめ食堂」 [「人生楽ばかり!」ティアラのブログ]
映画「かもめ食堂」を見てきました{ペンギン} http://www.kamome-movie.com/ 大盛況で、あまりの人の多さに、急遽追加された その日の最後の回の券をなんとか入手、見てきました{走る} フィンランドオールロケ。 出演 小林聡美(サチエ) もたいまさこ(マサコ) 片桐はいり(ミドリ)・・・他 フィンランドの人々 サチエは、フィ... [続きを読む]

受信: 2006年5月 4日 (木) 22時20分

» 「かもめ食堂」 [「人生楽ばかり!」ティアラのブログ]
映画「かもめ食堂」を見てきました{ペンギン} http://www.kamome-movie.com/ 大盛況で、あまりの人の多さに、急遽追加された その日の最後の回の券をなんとか入手、見てきました{走る} フィンランドオールロケ。 出演 小林聡美(サチエ) もたいまさこ(マサコ) 片桐はいり(ミドリ)・・・他 フィンランドの人々 サチエは、フィ... [続きを読む]

受信: 2006年5月 4日 (木) 22時24分

» 【劇場映画】 かもめ食堂 [ナマケモノの穴]
≪ストーリー≫ フィンランド、ヘルシンキの街角でオープンした小さな食堂。主は日本人女性のサチエさん。メインメニューはおにぎり。でもお客さんはなかなかやってきません。サチエさんは扉が押される日を待ちながら、食器を磨き続けます。ある日、ついに初めてのお客さんの青年トンミがやってきました。日本かぶれの彼に、「ガッチャマン」の歌詞を聞かれたサチエさんは出だししか思い出せません。続きが気になって仕方ないサチエさんは、カフェで見かけた日本人女性に声をかけるのでした。 (goo映画より) 単館で1万人突破... [続きを読む]

受信: 2006年5月17日 (水) 22時09分

» 『かもめ食堂』 [アンディの日記 シネマ版]
笑い度[:ラッキー:][:ラッキー:][:ラッキー:]        (公式サイト) (公式ブログ) 癒し度 [:おはな:][:おはな:][:おはな:][:おはな:] 映像美[:結晶:][:結晶:][:結晶:] 満足度[:星:][:星:][:星:][:星:] 【監督】荻上直子 【脚本】荻上直子 【原作】群ようこ  『かもめ食堂』(幻冬舎刊) 【出演】 小林聡美/片桐はいり/もたいまさこ/ヤルッコ・ニエミ/タリア・マルクス/マルック・ペルトラ <ストーリー>... [続きを読む]

受信: 2006年5月20日 (土) 22時47分

» 『かもめ食堂』 [*Sweet Days*  ~movie,music etc...~]
CAST:小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ フィンランド、ヘルシンキで日本食屋「かもめ食堂」を営むサチエ(小林聡美)。しかし開店して一月経っても全く客は入らなかった。そんなある日、ある理由でフィンランドにやってきたミドリ(片桐はいり)と出会い、ミドリも食堂を手伝うことに・・・・ 又行って参りました。レディースデイの映画館へ・・・・。レディースデイの何が嫌って、おばちゃん達がガヤガヤしてること。上映開始時間間際にどさどさ大勢で入ってきたり・・・ジュースとか持って。って、レディース... [続きを読む]

受信: 2006年5月25日 (木) 06時06分

» かもめ食堂 [PLANET OF THE BLUE]
これも先月に見た映画。 父がたまたま原作を読んで、誘われたので見に行きました。 見に行く前日に、テレビで取り上げられたこともあり、ミニシアターが超満員。 大変な盛況ぶりでした。 ストーリーは・・・    フィンランドで日本食をメインとした"かもめ食堂"の店主のサチエ。    初めてのお客さんは日本かぶれの青年だった。    その青年に「ガッチャマンの歌を教えて」と言われて、    仕事が終わった後も思い出そうと考えていると、    偶然、日本人を見つけた。    ... [続きを読む]

受信: 2006年5月30日 (火) 01時12分

» 真・映画日記『かもめ食堂』 [CHEAP THRILL]
日中は特になし。 寒いというだけ。 18時に終業。 あまりに寒いからそのまま家に帰ろうとも思ったが、映画を観に行くことに。 ケータイで「i-modeぴあ」を見る。 『かもめ食堂』が19時半からの回がある。 これに決め、新橋へ。 ニュー新橋ビルで金券ショップを数軒まわる。 しかし、どこを探しても『かもめ食堂』のチケットが見あたらない。 仕方がないので、JR山手線で有楽町に移動。 駅前の金券ショップに。 あった。この店ならほとんどの映画のチケットかあるので最後の砦にしている... [続きを読む]

受信: 2006年8月 8日 (火) 18時25分

» かもめ食堂 [銀の森のゴブリン]
2005年 日本 2006年3月公開 原作:群ようこ(幻冬舎刊) 脚本・監督:荻 [続きを読む]

受信: 2006年10月12日 (木) 22時16分

» かもめ食堂−(映画:2006年127本目)− [デコ親父はいつも減量中]
監督:荻上直子 原作:群ようこ 出演:小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ、ヤルッコ・ニエミ、タリア・マルクス、マルック・ペルトラ 評価:95点 公式サイト (ネタバレあります) ああ、たまらない、なんて素晴らしい映画なんだ。 幻のコー....... [続きを読む]

受信: 2006年10月15日 (日) 14時57分

« 福蘭 | トップページ | 「大阪」ー夜と昼ー »