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2006年2月 6日 (月)

「やさしくキスをして」

「 スコットランドのグラスゴーで暮らす厳格なイスラム教徒のカシムは、カトリック系高校で音楽の教師を務めるロシーンと出逢う。夫と別居中のロシーンだったが、クラブでDJを務めながら夢を追うカシムに惹かれ、やがて2人は恋に落ちる。純粋な恋愛の前に立ちはだかる宗教の壁。残酷なまでの人間描写でイギリスの社会問題をテーマに描き出したケン・ローチの最新作。」

イライラするほど人間臭くてリアル。
途中、本当にイライラしました。その歯痒さはリアルに描かれているからこそでしょう。
宗教だけでなく、2人それぞれの感じ方や表現の仕方、それによるすれちがいも、あらゆる所に文化の壁を感じます。どうしてそう反応するの?どうしてそう動くの?どうして分からないの??
見ている方も決して超えられない壁の前で立ち尽くす2人の気持ちを感じます。

そして、2人をとりまく現実。こちらはもっと圧倒的。
宗教や文化、民族、その中で生きる家族、存在する組織。
2人が愛を貫こうとしても、現実は如何ともし難く、立ちふさがる。

そして、それなのに不思議なほど2人は寄り添おうとしている。

それが印象的でした。

相手へのリスペクトとか、理解し合うとか、そんなに簡単なことじゃない。リアルに描いたその過酷さと残酷さ。
だからこそ、2人がなおも共にあろうとする姿に共鳴する作品です。

ラストが微妙。今までのいくつもの伏線があったり、ラストの会話の流れも微妙でエンディングはハッピーとも、アンハッピーともとれる感じ。
だからこそ、もしかしたら、問われているのかとも思いました。
希望を信じ現実を変える力を持とうとするか、現実に圧倒されてニヒリズムを決め込むか?

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やさしくキスをして
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コメント

tbありがとう。
ケン・ローチは、恋愛映画と見せかけて、このふたりを、結構、突き放しているような感じがしましたね。

投稿: kimion20002000 | 2006年2月24日 (金) 23時23分

こちらこそtbありがとうございます。

そうですねぇ。つきはなしている、といえばそうかもしれませんね。
「恋愛映画」の定義が私にはわからないのですが、私個人としては、社会問題をこうした人を通して描くからこそ、逆説的にいろいろなものがみえるのかなー、と感じました。社会問題というのは新聞とかメディアとかの中にあるのではなく、日々を送り、人とともに生きている人間たちの現実の中にあるので。

投稿: あき | 2006年2月26日 (日) 23時28分

あっしゅです。こんばんは。
この映画、宗教がらみですけど、
幸せを掴むときは、多少でも何かを犠牲にしないといけないということを学んだような気がします。

投稿: あっしゅ | 2006年4月 6日 (木) 23時58分

<あっしゅさん
こんばんは。この映画、困難な状況下でなおも幸せになろうとする、そんな二人の苦しさをよく描いてますよね。人と共にいきている私たちが、幸せになるということは実は時にとても難しいことですね。

投稿: aki | 2006年4月 7日 (金) 00時39分

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