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2006年1月16日 (月)

エネルギーをもらうこと

大好きな小説の一つに金城一紀の「花」があります。「対話篇」という短編集に収録されているものですが。
ラストシーンはいつも泣いてしまう。
この小説の中に、心身ともにボロボロになり、半分廃人のようになった男性弁護士が、司法試験予備校の教壇に立ち、受講生のまなざしに打たれ、人生をやりなおしていく、というシーンがあります。そうしてやり直した彼の人生は真っ直ぐで、夫婦の愛は純粋で、最後には、病で同じく自暴自棄になっていた主人公が、彼の真っ直ぐな人生に触れることで前向きさを取り戻していきいます。

私も人が真剣に何かに向かっている姿や言葉からは、いつも大きなエネルギーをもらいます。

土曜日のこと。
臨時の講師の仕事が入っていました。現在、臨床心理士を目指して勉強中の方が研究の計画の相談にいらっしゃいました。普段、私の大教室の講義を受けてくださっている生徒さんに、今日は特別に個別指導。生徒さん、と言っても、私から見ると実はお母さん世代の、いわば人生の先輩です。その年になって、新しく資格を取得しよう、というのはとても大変なことですよね。諦めていく方も結構いるのですが、このかたは本当に真剣。「色々勉強中なんですが・・・」と彼女が相談する内容は、勉強しているからこそ出てくるものでした。実は研究計画の相談にのるシーズンは終わっていたので、特別に彼女のために組んだ時間でしたが、こんなに真剣ならお会いして良かったと思いました。私もその真剣さに応えたい。
終わって最後に彼女は、眼鏡を外し、少し涙ぐんで、「良かったです。安心しました。今日、先生にお会いできて本当によかったです」と言ってくれました。
一人で勉強してくのは本当に不安で心許なかったことだろうと思います。それで、このラインで大丈夫なんだ、ということ、修正すべき点を確認できて安心されたのでしょう。
さらに彼女は続けました。「もう先生の大ファンなんですよ。1時間かけて通ってるんですけど、毎回楽しみで」。

今度は私の方が涙がでる想いでした。
考えてみてください。自分の娘、とまではいかないけれど、20歳以上も年下の私にそんなことなかなか言えないですよね。
本当に謙虚で、真っ直ぐな方だなぁ、と。私もその想いに応えていかないといけないなぁ、って。
私もその想いにお礼をいい、今日会えて良かった、ということを伝えました。

以前も、ずっと学校の先生をしていらしたベテランとも言える年齢の受講生の方に、「心理学だけでなく、先生の教え方や、生徒への言葉の返し方は教師としてもとても勉強になります」と言って頂いたことがあります。私が講師の仕事を始めてその年で7年目でした。その方はもう50歳位の方でしたから、私の何倍も教師と言う仕事をして来ているのに、その謙虚な態度と真摯な姿勢に感動しました。その時、「この方は本当にすごい方だなぁ」と感心したことがありました。きっと良い教師として働いてらっしゃるんだろうなぁ、と思いました。もちろん講義も非常に熱心に受けていらっしゃいました。

こういう時、講師という仕事をしていて本当に良かったと思います。こんな風に私の講義を楽しみにしてくれる方がいること、こんなに真剣に向かって来てくれる方がいること。そして、年齢に関わらず、そんな風に真摯に生きている人たちに出会えること。
その想いに私もエネルギーをもらい、また頑張ろう!良い講義をしよう!と思えます。
そんな私の講義がまた少しでも、そんな想いを持って私の講義に訪れる人の何か役に立てると良いな、と思います。

そんな自分の幸運に心が温かくなる週末。
休みがつぶれても、そんなの小さなことです。
本当に本当にありがとう。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ハッピー指数 100%
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




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コメント

私は仕事でエネルギーを貰うといえば、
昼休みに遊びに来る女の子たちの、一途な気持ちに、エネルギー貰います。

あと、余計ですが、
私も塾講師をやっていました。
院や編入用の臨床心理学を教えていたことも・・・

研究計画書も結構観てました。
母校に何人か後輩ができました・・・。

蛇足でした。失礼。

投稿: きゅういち | 2006年1月18日 (水) 20時40分

ほんとに、人からはエネルギーをもらいますよね。

そっかー。院や編入用の臨床心理、教えていたんですね。
こちらも同業だったわけですかぁ。
私も今、母校に後輩が出来てるんですよ。
不思議な感じですよね

投稿: aki | 2006年1月18日 (水) 22時06分

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