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2005年12月22日 (木)

「たそがれ色の微笑」

Renjyou0028jpg大掃除とは、なかなか進まぬものです。だって、寄り道をしてしまうんですもの。

ここ数日、大掃除をしています。年末にまとめてやろうと思っていたら、母と温泉に行くことになってしまったので、今から夜や休みを使って、ちょっとずつ大掃除をしています。で、これがなかなか進まないんだ。私の部屋の収納力が臨界点に達して来たので、まだまだ余裕のあるリビングに心理学以外の本を移動したのですが、そうすると、大好きだった小説とかが出て来てしまうわけで、思わず手に取って開いちゃったりするのですよ。

以前、悲しいことがあると手に取っていた作品に連城三紀彦の「たそがれ色の微笑」という短編集があります。連城氏の作品は私はとても好きで、今思うと何が分かっていたのか高校生のときからの愛読書です。彼の作品は残酷で、人は弱くて、でも温かくて優しいと思います。短編集だからすぐに読めるというのもあるのだけれど、この作品は自分の力ではどうにもできない悲しい事態を受けとめるしかないときに、私が静かにセンチメンタルに、心をおさめていくときに読んだ作品です。

好きなのは表題作よりも、1作目の「落葉遊び」という作品。

「人はこんな風に遠い日の記念写真のようにしか幸福を感じとることができず、人はまたこんな取り返しのつかない思い出のようにしか誰かを愛することができないのだろうと思い、だからこそ今、僕は人生の一番幸福な瞬間にいるのだし、今までもこんな幸福はなかったのだし、今後も訪れることはないのだろうと考えたのだった。」

何度読んでも切なくて泣いてしまう作品です。けれども、そのどうにもならない残酷さの向こうに温かさを感じて、読み終わると優しい気持ちになっている。それが魅力ですかね。
それと、この小説、あとがきが好きなんです。

「四十を好過ぎて今、子供の頃のあの絵本を思い出し最後の頁をくってみると、籠の中に入っている鳥は青ではなく水色をしています」

久しぶりに愛読書を読み返す、大掃除の途中。どうも新年は片付ききらないうちに迎えることになりそうな情勢ですが、それもまたありですかね(笑)。
そんなマイペースな大掃除。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ハッピー指数:70%

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

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